小人閑居して不善を為す chapter3

一介のプレイヤーからハイスコアラー、そしてゲームセンターの中の人を経てアーケードゲームと関わること40年以上、その普通とはかなり異なるゲーマー人生を回顧するべく記事を綴っております。

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト ゲーメスト1989年9月号

ゲーメスト1989年9月号(通算第36号)のハイスコア集計店マップとなります。

 

掲載店総数は97となり、1989年4月号から3桁に戻った店舗数は再度100を割り込むのですが、以後確認している時点では再度3桁の店舗数に戻ることはないようです。新規掲載店はなく、今号で掲載が終了する店舗も石川県の「コスモランド・ムサシ」のみとなっています。

 

以下スコア欄となります。

ゲーメスト 1989年9月号より)

 

トップスコア一覧のコメントにある「ウソスコアの密告電話」。

ゲーメストでは古くから嘘スコアに対する問題提起を行っていましたが、プレイヤーや店舗の信用に依存するため絶滅することは叶わず、時折密告や検証で白日の下に晒される事態が起こっていました。

嘘スコアは送る方は簡単ですが、確認や検証に掛かる労力はとてつもなく大きいため「やったもん勝ち」な面があったのは否めなかったように思います。抑止としてペナルティが必要なのかもしれませんが、特に誌面上でペナルティを設けることはされませんでした。最もばれた際には「嘘スコアラー」というレッテルが一生ついて回ることになるのですが。

 

そしてトピック店舗は千葉県を継続。セガ系店舗が続きましたが再度ナムコ系に戻ります。

千葉市の「マリンピア ナムコランド」及び市川市の「ナムコ ゲームスポット」をまとめてを取り上げます。

 

・マリンピア ナムコランド

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ゲーメスト 1987年1月号より)

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2020年7月5日撮影

 

ナムコ ゲームスポット

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ゲーメスト 1987年1月号より)

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2020年8月8日撮影

 

どちらもゲーメストへのスコア掲載開始は1987年1月号が最初となっています。

 

「マリンピア ナムコランド」ですが、京葉線稲毛海岸駅前に、イオンの「マリンピアショッピングセンター」が立地しており、その中にナムコがテナントとして存在していたようです。現在はナムコは撤退しており、3階フロアに子供向けアミューズメント施設のNICOPAが入居していますが、特に3階フロアは内装を大きく変更している形跡があるため、ナムコがNICOPAと同じ場所で営業していたかどうかは定かではありません。

 

ハイスコア集計欄には1987年1月号から掲載されたのですが、翌3月号を最後に掲載店からは姿を消しました。津田沼のサンペデックや千葉市の集計店から比較的近く、また1987年は京葉線が全線開業する前(1986年3月に西船橋~千葉みなと間が開業。蘇我および新木場まで開業するのは1988年12月)なので駅前とは言え決してアプローチは良くなかったこともあり、スコアラーが集まりにくかったのかもしれません。

 

一方の「ナムコ ゲームスポット」は、JR総武線市川駅前に立地する「市川ビル」にキーテナントのダイエーと共に営業していました。先日紹介済の津田沼「サンペデックナムコランド」と業態的には非常に近いと思われます。

 

ダイエーがイオン傘下となって以降、イオン関係のロゴを掲げる店舗が増加し、こちらも壁面にはイオンフードスタイルのロゴが掲出されていますが、建物上部には昔とは変わったとはいえまだダイエーのロゴが掲出されており、元ダイエー感がほとんど消失している津田沼モリシアと比べると往時のダイエーの雰囲気が残っています。

 

ナムコは地下1階に入居していたようですが、現在フロアは全てパチンコ店となっています。

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2020年8月8日撮影

 

パチンコ店のフロア案内図や店内写真を見ていただければわかるように、地下1階のフロアは相当に広いため、ナムコがフロアの全てを使用していたとは考えにくいですが、当然にしてフロア内には昔ゲームセンターがあったような形跡は全く残っていません。

こちらはゲーメストにおいては1988年12月号までスコアの掲載は継続しましたが、その後ベーマガの1991年6月号からスコア掲載が再開された履歴があります。

マイコンベーシックマガジン 1991年6月号より)

 

しかし再掲載も長続きせず、1991年12月号までの掲載に留まっています。

 

千葉県の市川市千葉市の間には、市川、津田沼稲毛海岸京成千葉とショッピングセンター内のナムコ系店舗が数多くハイスコア集計店として名を連ねていました。

反面、千葉県にはナムコ単独店舗である「キャロット」の名称がついた店舗がゲーメストやベーシックマガジンには一切登場せず、その代替をショッピングセンター内ナムコ系店舗が果たしていたのではないかと想像されます。

しかしそのピークは短く、90年代に入る頃にはハイスコア集計店としてはほとんど姿を消してしましました。業界の方々の不断の努力でゲームセンターが徐々に社会的に受け入れられるようになっていく一方で、ショッピングセンター内店舗にゲームファンを囲い込む必要が無くなってしまったという時代の変遷を表しているのではないでしょうか。