セガが「ロケーションビジネスから撤退する」というニュースを耳にしたのは、丁度セガ勤務時代の回顧録を書いている最中でした。
突然の発表に驚愕した私は直ぐにでもブログにこの話題を取り上げようとも考えましたが、勤務時代の回顧録途中に挟むのも中途半端なため、終了したこのタイミングで取り上げることと相成りました。
報道直後にセガサミー公式からもプレスリリースが発表され、事実であることが判明します。
https://www.segasammy.co.jp/japanese/pdf/release/20201104_j_subsidiary_final.pdf
(セガIRリポート、2020年11月4日号)
そして株式譲渡先の「GENDA」を含んだ正式な社名変更のインフォメーションが掲載され、2020年末をもって名実ともにセガとしてのロケーション運営は終焉を迎えることとなりました。
(GENDA SEGA Entertainment ロゴ、同社ホームページより転載)
www.sega-entertainment.jp
(GENDA SEGA Entertainment インフォメーション 12月30日号にて掲載)
セガサミーホールディングスが元々の運営子会社であるセガエンタテイメントの全株式を売却した訳ではなく、また社名変更に当たってセガの名称は残しているものの、セガが所有を続ける15%程度の株式ではもはや経営を大きく動かす力は持ち得ないでしょうから、業務用ゲームビジネスは今後も継続するというセガの「のれん」としての株式保持とみてほぼ間違いないでしょう。
自分にとって衝撃的だったのは、元勤務先企業が消滅したという事実ももちろんなのですが、セガが「祖業であるゲームセンター事業から手を引く」ことはあり得ないと思っていたからに他なりません。
60th.sega.com
セガの歴史を紐解いて見るとわかりますが、もともとセガはジュークボックスの輸入販売からスタートしており、「メーカー」よりも「ディストリビューター(販売代理店)」の事業が先行しています。
そのビジネスモデルは「ジュークボックスを飲食店や娯楽施設に設置し、機器のメンテナンスやレコードの入れ替えまでを行う。売上はオーナーと契約歩率で分配する」という内容が想像されます。現在の業務用ゲーム機や自販機で一般的な機器レンタル設置のモデルと恐らく大差はありません。
やがてジュークボックスの需要減少に伴い、ビジネスモデルや取引先も類似しているアーケードゲームのレンタルへと業務内容をシフトさせていったと考えれば、ジュークボックスのレンタル設置が祖業であり、その直接の血を引く業務用ゲーム機の機器設置事業が祖業に最も近いと言っても過言ではないと思います。
勿論「祖業」というだけでは、それこそジュークボックスが業務用ゲーム機に代わったようにその事業を維持し続ける理由にはなりません。
コロナ禍によって、ゲームセンタービジネスの業績悪化及びビジネスの先行き不透明さが浮き彫りになってしまったという事情があるとはいえ、業務用ゲームのビジネスを抱えていたからこそ浮沈の激しいゲーム業界においてこれまでセガが生き残れてこれたと思うため、多少の業績変動はあっても事業そのものから手を引くことはないと考えていました。
その2へ続きます。