セガが店舗を手放すことを確認した際、ロケーションビジネスの現状を確認するため、セガサミーホールディングスのIR情報をチェックしました。
ホームページ上では、丁度私が退職した2005年以降のデータを確認出来ました。
しかし古い年度において期末のグループ決算説明資料がアップされていないこと、また15年の間に子会社組織の改編が行われた結果、有価証券報告書内のアミューズメント施設事業売上のセグメントに変更があり、統一した資料から数字を拾い上げることが出来なかったため、2010年度を境に以下の2つの資料からデータを抽出しました。
・2005~2009年:セガサミーホールディングス(株)決算短信の「セグメント情報」
・2010年以降:セガサミーホールディングス(株)決算説明資料の「連結損益計算書」
以下、アミューズメント施設事業における売上高、当期純利益、店舗数をグラフ化しています。売上高及び当期純利益の単位は百万円となります。
(データは、2005~2009年までは決算短信、2010年以降は決算説明資料より抽出)
私が退職したのは2005年ですが、そこから2006年に掛けてはアミューズメント施設事業が好調な時期で、当時人気が絶頂だったムシキングや、女の子向けカードゲームの「おしゃれ魔女 ラブ&ベリー」もヒットしており、その恩恵を受けていた時期です。
しかしその人気が一巡した2007年に純利益が大きく落ち込み、2007年は何とか持ちこたえたものの2008、2009年と2年連続して施設事業セグメントとして大きな赤字を計上することとなります。2回目の希望退職者募集があったのが2009年のこと。あと4年頑張っていれば…(しつこい)
1999年のリストラの際は、ドリームキャストの躓きというコンシューマ部門における要因が大きかったと思いますが、2009年の際にはアミューズメント施設事業及びコンシューマ事業における営業損失が理由と明確に記載されており、特に既存店の売上落ち込みが大きかったようです。
この頃は私もセガを離れ、MJをプレイする程度しかゲームセンターへ行く機会が無かったのですが、ムシキングの後継「恐竜キング」もパッとせず、他の業務用タイトルも含めて自社ヒット製品が乏しかった時期に加え、コナミの大型メダルゲームが幅を利かせており商品構成でもハンデが大きかった時期ではないかと思います。
これを機に従来型の既存店整理が一層進行し、3年掛けて店舗を半減させた結果、2011年にようやく止血し再度利益を出せる状況に至ったことがグラフから見て取れます。2009年にセガからタイトーへ合計12店の運営移管がされましたが、これも恐らくは店舗整理の一環として実施されたのでしょう。
(2020年6月6日撮影。2021年3月末で閉店が決まった、セガより譲渡された店舗のうちの一つタイトーステーション豊橋)
ただ、2011年以降は若干の浮沈はあるものの、概ね200店の規模と400億程度の売上で推移しており、赤字計上した年度はあるものの傷口は小さく比較的安定して経営を推移させてきたことが窺えます。
(セガサミーホールディングス(株) 2020年3月期決算プレゼンテーションより抜粋)
エンタテイメントコンテンツ事業はセガサミーグループにおけるセガ社の担当領域であり、2020年3月の通期業績予想では総売上2460億に対してアミューズメント施設事業で430億、18%弱の割合となっています。
2005年度では35%程度を占めていたため、セガサミーグループ内におけるアミューズメント施設事業のウエイトが小さくなっていたのは紛れもない事実でしょう。
そして2020年度においてはコロナ禍による大幅な売上の低下が避けられない状況となり、またコロナ禍が明けた後にも以前と同様の売上見通しを立てられず将来性が薄いという経営判断が今回の事業譲渡へと繋がった、というのが大筋の見解ではないかと思います。
しかしそれでも売上400億です。
また、数字の部分だけでなくセガがアミューズメント施設事業を失うことそのもの影響、そして譲渡されたGENDA側においてもセガが直接運営している時と比べると、いくらセガの名前を残しているとはいえ今後様々なマイナス部分が出てくるのでは、と個人的に危惧しています。その内容は次回で説明したく思います。
その3へ続きます。