(その1より)
大型のポスター等の目立つ展示に目を奪われそうになる中、ブース正面に今回の展覧会の目的が綴られており、真っ先に目を通しました。
アーケードゲームという「製品」だけではなく当時のゲームセンターという「場所」にスポットを当てた試みとして、また「ゲーセンとそれを取り巻く文化について後世に残す」という今回の展示活動の意義は、同じ時代に同様の経験を経た人間として非常に共感できるものでした。
私も個人的にこのブログで「ハイスコア集計店マップ」を作成していますが、それも消えつつあるゲームセンター文化を何らかの形で残すために自分で出来ることを行っている過程であり、方法は異なれどベクトルは同じ方向を向いているのだな、と感じています。
続いて、小樽市内のゲームセンターについてのマップによる位置表示と店名一覧です。
文学館を尋ねる前に小樽市内ハイスコア集計店の跡地巡りを行いましたが、既に市街地からは店舗はほぼ全滅しており時間の経過を痛感します。
私がこのブログで自身のゲームセンター経験を語っていることと同じようなストーリーが、小樽という街だけでなく全国各地に繰り広げられていたのだと感じます。
そして「展示物」になるのは恐らく初めてではないかと思われるコミュニケーションノート。ハイスコア集計と並んでユーザーフレンドリーなゲームセンターに設置され、SNS無き時代はノート上の交流が店舗へ向かうモチベーションになっていた人も多かったのではないでしょうか。一部はそれが目的化し過ぎで「ノーター」と呼ばれる「ノートだけ読んでゲームしない人」の問題も生じさせるのですが…
SNSが普及する遥か以前からSNSのようなやり取りがゲームセンターで繰り広げられていたのですが、結果的にSNSにその機能を全て代替されてしまった感があります。
ゲーム関係の書籍、出版物や同人誌の展示。
1985年以前のNG(ナムコ店舗ミニコミ誌)は結構貴重ではないでしょうか。
また「ゼビウス1,000万点への解法」の実物が展示されていました。伝説的なこの同人誌も私を含め実物は初めて見たという来訪者の方が殆どだったようです。
またベーシックマガジン・ゲーメストのハイスコア欄もプレイヤー間で競争が繰り広げられていた資料として北海道の店舗欄をメインに掲示されています。
会場には「プレイアブル展示」としてアストロ筐体(横画面)とテーブル筐体(縦画面)が各1台展示され、自由に遊ぶことが出来ました。
テーブル筐体はなんとこの文学館の所有物だそうです。カフェ文化に関する展示を行った際に入手して所蔵されていたとか。
私が訪問した際に入っていた基板は「出たな!ツインビー(コナミ1991)」と「鋼鉄要塞シュトラール(UPL1992)」でしたが、展示に関して許諾が取れたメーカーのタイトル内で定期的な入れ替えを行っていました。
シュトラールを約30年振りにプレイしましたが、当時カンストまでやってた時の面影は全く無く2面で終了しました(´・ω・`)
最後に、今回の展示の企画者である@hilow_zero氏とお会いすることがが出来ました。
今回計らずもコロナ禍の最中での開催となってしまい御苦労も多かったと思いますが、メディア等で取り上げられる機会もあり地元のゲーマーの方々を中心としてかなりの反響があったようです。私がお伺いした時も私以外に常時2~3人の来訪が入れ替わりであり、また元ゲーマーの方がご家族を連れて来訪し、子供がプレイアブルのゲームに興じる姿も見受けられたそうです。
展示は無料スペースにて行われていたため、前述の通り入口で「ゲーセン展を見に来た」と申し入れれは展示を無償で閲覧することが出来ました。これについては有償展示とした方が良いのでは、との声もあり、実際に私も有償にするだけの価値があると思ったのですが、有償とするとプレイアブル展示となっているゲーム機に対して間接的に金銭を投入していることになり、風適法上の問題が発生してしまう可能性があるため難しかったとのこと。
プレイアブル筐体については、遊ぶことの出来るタイトルについても事前にメーカーや現在の権利所有者に確認の上了承が取れたタイトルのみの設置となっているのですが、文学館という公共のスペースでの展示となる以上どうしても風適法や著作権法を含めて法的にグレーな部分は避けなければならず、「アーケードゲーム」というコンテンツを文化的財産として展示展開する際の難しさを感じました。
また、展示品についてはゲーム基板も含めて殆どが個人所有物で、結果的に持ち主の嗜好が反映されてしまうため展示内容に偏りが生じてしまったとのこと。確かに展示品はどちらかと言えば80年台に寄っているため、現在50歳前後の層にはピンズドの展示となる反面、ストⅡ以降にゲームセンターに通い出した40歳以下の層には今一つピンと来ない展示だったのかもしれません。
これについては既に今年中に「第二回」の開催に向けて展示品の充実も含め準備を開始されているとのこと。
開催の際には改めてお伺いすること、そして私に協力できることがあれば遠慮なくお声掛け下さいとお伝えし、会場を後にしました。また北海道に向かう理由が出来ました。
最後に、会場内に展示されていた地元誌の特集記事をアップします。
写真では読みずらいですが、一読頂ければ今回の展示に向けた想いを感じて頂けると思います。
次回も期待いたしております!
(4月13日訂正:@hilow_zero氏を「主催者」から「企画者」へ改めました。主催者は小樽文学館様となります。ご指摘頂き誠にありがとうございました。)