小人閑居して不善を為す chapter3

一介のプレイヤーからハイスコアラー、そしてゲームセンターの中の人を経てアーケードゲームと関わること40年以上、その普通とはかなり異なるゲーマー人生を回顧するべく記事を綴っております。

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト ゲーメスト1990年12月号

ゲーメスト1990年12月号(通算第52号)のハイスコア集計店マップとなります。

 

さすがに10,11月号で23店もの新規追加があったこともあり今号は新規掲載はありません。掲載店総数は91と-3の微減。今回、プレイシティキャロット巣鴨店が掲載開始以来初めて休載されたのですが、店舗改装の影響であることが確認されています。丁度地下2階が拡大された時期でしょうか。

 

以下スコア欄となります。

ゲーメスト 1990年12月号より)

 

店舗改装といえば、ハイスコア通信欄のハイテクセガ藤井寺店の欄にも改装のため一時休業の旨が記されています。

客の立場だけで言えば、店舗改装を行えば概ね店内は綺麗になり、伴って新製品の入荷が増えることを期待する訳ですが、店舗側の立場で言えば、

 

①改装費用を掛けるので改装後は売上のアップを求められる

②休業期間を伴う大規模の改装だと人事異動も兼ねることもあり、また休業期間中の収入が途絶えることからバイトが入れ替えになることもある

 

これらの理由で運営の変更を求められたり、社員やバイトが入れ替わってしまう影響から改装を機にハイスコアの集計やコミュニケーションノートの設置を取り止めることに繋がる事例は多かったのではないかと想像されます。

 

実際ハイテクセガ藤井寺店はこの号の掲載が最後となり、改装後に再び店舗欄は現れませんでした。そして改装の影響は前述した「プレイシティキャロット巣鴨店」にも…

 

続いてトピック店舗です。

静岡県初期のゲーメスト掲載店より、「ニチイ浜松店」「豊田商店」の2店をピックアップします。

 

・ニチイ浜松店

ゲーメスト 1986年5月号より)

2021年9月25日撮影

 

・豊田商店

ゲーメスト 1986年5月号より)

2022年10月10日撮影

 

双方とも所在は静岡県浜松市で、且つゲーメスト創刊号である1986年5月号のみにしか掲載されなかった店舗という共通点があります。

 

「ニチイ浜松店」ですが、店舗欄には電話番号が掲載されているのみで住所情報が記載されていないのですが、名前の通り総合スーパーのニチイ内に存在したと推定しています。住所は浜松市千歳町91(現在は浜松市中区千歳町91)となり、写真は現在の住所の場所となっています。

 

ニチイは浜松市中心市街地の核店舗として1969年9月30日に開店、バブル崩壊や大型店同士の出店攻勢の影響で1991年2月に撤退しており、現在同じ場所に立っているのは2015年にリフォームされた「遠鉄モール街ビル」です。内外観は綺麗になっていますが建屋はニチイ時代のものがそのまま使用されているようです。

 

一方の「豊田商店」は浜松の中心市街地から北西方向へ2㎞程度離れた郊外に存在を確認しています。

ゼンリン住宅地図 浜松市南部1984年より)

誌面に掲載される2年前の1984年の住宅地図ですが、店名しか確認出来ないこともあり業態や取扱商品は全く持って不明です。ゲーム機が設置されていたとなると想像されるのは生活雑貨店、駄菓子屋、玩具店あたりが想像できますが玩具店玩具店とはっきり明記する場合が多く、また周囲は殆どが住宅地のため駄菓子屋系のお店だったのではと想像することしか出来なくなっています。

 

お店の前の道は舘山寺温泉方面へ通じる県道ですが現在はバイパスが通じているためこちらは旧道の位置づけで、通行する車はそれ程多くありません。該当する住所も写真のように現在は美容院となっており、店舗が存在した形跡は全く確認出来なくなっています。

 

 

前述したようにこの両店はゲーメスト創刊号のみの単発掲載に留まりました。

既にベーシックマガジンに掲載されていた「ビデオインパズル」から3㎞程度、またこちらもベーマガ単発掲載となってしまった「ナムコランド浜松西店」からも比較的近く、ハイスコア集計黎明期には多数の掲載店を市内に抱えていた浜松ですが、同じ県内の静岡市が3軒のキャロットを擁し以後コンスタントに掲載店を輩出していたのに対し、浜松市は87年には掲載店が姿を消して以降集計店には恵まれず、90年台後半まで掲載店の出現が空いてしまうことになります。