小人閑居して不善を為す chapter3

一介のプレイヤーからハイスコアラー、そしてゲームセンターの中の人を経てアーケードゲームと関わること40年以上、その普通とはかなり異なるゲーマー人生を回顧するべく記事を綴っております。

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト マイコンベーシックマガジン1985年6月号/トピック店舗:プレイシティキャロット琴似店(北海道)

ハイスコア集計店マップ(マイコンベーシックマガジン1985年6月号)

マイコンベーシックマガジン1985年6月号(第4巻第6号)のハイスコア集計店マップとなります。

 

今号は、初期の2ヵ月連続同一掲載店舗だった時期を除くと、初めて新規掲載店が0となります。また掲載店総数も105と一気に9店も減少しています。

 

以下スコア欄を掲載します。

 

【チャレンジハイスコア 1985年6月】

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マイコンベーシックマガジン 1985年6月号より)

 

掲載店数が少ない割に休載表記は「ダイエーレジャーランド高岡店」の1店しかありません。休載が多い店舗欄は設けず、空いた枠をまとめることで店舗紹介や通信欄に充てています。

 

通信欄にはデータイーストの「B-ウイング」についての例が述べられていますが、「難易度や残機の設定は工場出荷設定のみを集計の対象とする」「永久パターンを使用したスコアは認めない」等、追って一般化する集計ルールがまた確立していないため、対応が手探りであったことが窺えます。

 

集計ルールが確立していないことは申請する店舗側も同様で、設定や到達面数等を備考欄に記入していなかったことからスコアが上回っていてもトップの扱いをされなかったり、永久パターンを使用したスコアや、今見ると明らかに達成不可能なスコアが掲載され全国トップとなっている例が散見されます。

 

集計ルールについては、ゲーメストが創刊されハイスコア集計がベーマガと二本立てになる1986年以降から、双方の担当者の努力によって徐々に明文化されて行きますが、それ以前のハイスコアについてはオフィシャル的に最終スコアが明確にされていないタイトルが殆どなのではないかと思います。

 

トピック店舗:プレイシティキャロット琴似店

トピック店舗に移ります。

今回は80年台後半の北海道ハイスコア集計店の代表ともいえる「プレイシティキャロット琴似店」を取り上げます。

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(スーパーソフトマガジン⦅マイコンベーシックマガジン別冊⦆1984年1月号より)

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2021年3月28日撮影

 

札幌市の郊外、JR函館本線札幌市営地下鉄東西線にそれぞれ琴似駅がありますが、両者は500m以上離れており、両駅を繋ぐ琴似・栄町通り沿いに商店街が形成されています。その沿道にあった商業ビル「琴似グリーンビル」の1階に店舗を構えていました。

ゼンリン住宅地図 札幌市西区1985年より)

キャロットが入っていた建屋は5階建てのスナックを中心とした雑居ビルでしたが、現在は写真のようなマンションへと変わっています。両隣のお茶屋と飲食店の建物は昔と変わっていないようです。

 

スーパーソフトマガジンの初回掲載26店に名を連ね、1984年1月号から掲載が開始されます。追ってゲーメストへも掲載されダブル掲載店となり、ナムコグッズ販売も直営店の中で真っ先に開始されたことも手伝って、北海道のハイスコア集計店で最もポピュラーな存在として全国のゲーマーにその名を知られることになります。

 

「琴似」という地名もこの店から知り得た方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

 

業界紙「ゲームマシン」においては、1986年8月1日号の「全国市街地ゲーム場」のコーナーで琴似界隈が取り上げられました。

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(ゲームマシンアーカイブ 1986年8月1日号より)

 

店内写真がありますが、テーブル筐体主体だった光景に時代を感じます。正面に多数のギャラリーが出来ていますが、何か新製品にでも群がっているのでしょうか。

 

またナムコが最初にキャロットを構えた琴似という場所の魅力に他社も気が付いたのか、セガが新規出店を行った直後のようで、追ってタイトーも出店し大手3社のロケが出揃う場所となる反面、それ以前には旧態依然のゲームコーナーがいくつか営業されていたことが確認出来ます。

 

そして約2年後のゲーメストで札幌の店舗紹介記事が組まれますが、その際にも琴似界隈が取り上げられています。

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ゲーメスト 1988年5月号より)

ウィルトークがオープンしている一方で、2店存在した個人店は紹介されていません。この頃が最も琴似界隈が充実していた時期だったのでしょうか。

 

そして更に時を経た1990年9月号の掲載を持ってゲーメストへのスコア掲載が終了。この時は掲載店入れ替えに伴い多数のナムコ系店舗がゲーメストの集計店から姿を消しており、何らかの意向が働いていたのかもしれません。

 

ベーシックマガジンへの掲載は引き続き1996年3月まで継続。1996年4月号のベーマガ「チャレハイ通信」欄に以下のメッセージが残されています。閉店までスコア集計が継続されていました。

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マイコンベーシックマガジン 1996年4月号より)

 

札幌市内に多数存在したナムコ系のハイスコア掲載店はここの閉店を持って全て誌面から消失しその歴史に幕を閉じています。

 

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ハイスコア集計店マッピングプロジェクト マイコンベーシックマガジン1985年5月号

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