小人閑居して不善を為す chapter3

一介のプレイヤーからハイスコアラー、そしてゲームセンターの中の人を経てアーケードゲームと関わること40年以上、その普通とはかなり異なるゲーマー人生を回顧するべく記事を綴っております。

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト ゲーメスト1992年4月号/トピック店舗:ゲームプラザ京都オリンピア(京都府)

ハイスコア集計店マップ(ゲーメスト1992年4月号)

ゲーメスト1992年4月号(第7巻第4号)のハイスコア集計店マップとなります。

 

掲載店総数は90で先月比+1、先月に6店登場していることもあり今月の新規掲載店はありません。

 

以下スコア欄を掲載します。

 

【めざせハイスコア 1992年4月】

ゲーメスト 1992年4月号より)

 

栃木県の今市ゲームセンターの店内スコアボード写真が掲載されていますが、ハイスコア全盛期のスコアボードはお店のアイデンティティとも言えるアイテムでした。

 

ホワイトボードに書かれているのみではなく、フォントを統一していたりゲームタイトルロゴがイラストになっていたりすると、店舗のスコアボードに対する意気込みが感じられたものです。

 

ただ90年台に入ってハイスコアから対戦ゲームへトレンドがシフトするにつれ、綺麗なスコアボードを店内で目にすることは次第に少なくなっていった気がします。

 

トピック店舗:ゲームプラザ京都オリンピア

 

トピック店舗は京都府の初期ゲーメスト掲載店から2回目、「ゲームプラザ京都オリンピア」をピックアップします。

 

ゲーメスト 1989年4月号より)

2024年8月11日撮影

 

阪急河原町駅付近の四条河原町交差点付近は京都市随一の繁華街が広がっており、数を大きく減らしてはいるものの現在もいくつかのゲームセンターが営業されています。

 

今回紹介する「京都オリンピア」もその一つですが、かつてハイスコア集計店として履歴が残っている店舗で2024年現在でも営業が継続している貴重な店舗です。

 

場所は京都の観光コースでも定番となっている新京極商店街の中にあります。

四条通り側から商店街を北上し、蛸薬師通りと交差する場所に3軒の店舗が並んでおりそのうちの1軒です。飛行機のオブジェが店舗のシンボルとなっており非常に目立つ存在となっています。

(精密住宅地図 京都市中京区1988年より)

 

1988年の住宅地図にて所在を確認しています。

この時点ではオリンピアに隣接した場所に「三和スターダスト」というゲームセンターとパチスロ店の「モナコ」が存在していますが、1981年の地図においてモナコもゲームセンターだったことを確認しているためかつては3軒のゲームセンターが並んでいたようです。

(ゲームマシン 1985年8月1日号より)

そして1985年8月1日号のゲームマシン誌「全国市街地ゲーム場 京都・河原町」において店舗紹介記事及び当時の店舗外観写真が掲載されています。飛行機オブジェは当時から健在でアイキャッチとして効果を上げていたようです。

 

この時点では店舗運営元が「京都オリンピア」となっていますが、その後こちらはゲームメーカー「ビデオシステム株式会社」の直営店として有名となります。恐らくはビデオシステム社が経営権を取得したものと思われます。

ゲーメスト 1989年3月号より)

 

そしてゲーメストへハイスコアが掲載されたのは1989年4月号からですが、その前月に人材募集、および直営店舗である京都オリンピアの紹介記事が掲載されていました。当時から店舗のシンボルだった飛行機オブジェの色は現在の緑ではなくピンクで、羽の部分に「KYOTO OLYMPIA」、そして中央にビデオシステム社ロゴのVマークのネオンサインが映っています。

 

店舗紹介記事を見ると、直営店ならではのロケテスト実施や、店舗サークルの設立といったゲーマー間のコミュニケーションの場として店舗を盛り上げていこうという意識が当時あったと思われます。ハイスコアの掲載もその施策の一環として開始されたと予想しています。

 

しかし初掲載から4か月後の1989年7月号をもってハイスコアの掲載は早々に中止されてしまいました。

1989年8月号では京都のゲームセンター紹介記事がありますが、地図上に店舗の場所は描かれているものの紹介文は掲載されていません。

ゲーメスト 1989年8月号より)

そのため、1985年以降のタイミングでビデオシステム社が京都オリンピアを取得し直営店とした後に、店舗運営の一環としてハイスコア掲載のようなゲームマニア向けの差別化を打ち出したものの効果が薄かったため中止、取材も受けることもしなかったという線が考えられると思います。

 

確かにただでさえ人通りの多い新京極商店街という最高の立地において、わざわざマニア層を店舗に呼び込む意義は低そうです。

ただゲーメスト誌面に広告記事を出してまでアピールを行った顛末については気になるところではあります。

 

その後ビデオシステム社は2000年以降企業としての活動をほぼ停止しており、京都オリンピアも再び経営権が売却されプリクラ専門店となって現在に至っています。また隣接していた三和スターダスト、モナコは共にガチャガチャ、プライズ、カード系のショップとなっており、いずれも風営法上ではゲームセンターへの分類となっているかもしれませんがビデオゲームの存在は皆無となっています。

 

そして店舗のシンボルとなっている飛行機のオブジェですが、珍しさに加えて非常に多くの人の目に留まる場所故に有名となり、一時は商店街の公式ウェブサイトにも紹介がされるほどでした。 

https://www.shinkyogoku.or.jp/store_info/olympia.html

(リンク切れ)

 

以前は上記リンクにて閲覧ができたのですが、現在はページが削除されているようです。また、2024年時点での新京極商店街振興組合公式ウェブサイト内ではオリンピアの存在は一切触れられていません。

www.shinkyogoku.or.jp

また「京都の人気ガチャガチャスポット」で検索すると、プリクラ専門店のはずであるオリンピアをガチャスポットとして取り上げている記事も存在します。

kyoto-information.com

店名は京都オリンピアで、紹介文も飛行機のオブジェを連想させる文言ですが写真はなぜか隣接している「ハリケーン寺町」を写しています。ガチャガチャ店の紹介であれば店舗名もハリケーンにすればよいと思うのですが…

 

新京極商店街HPから店舗紹介ページが消えていることも含め、なにか複雑な事情を抱えているような気がします。

 

【前記事】

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト ゲーメスト1992年3月号

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト マイコンベーシックマガジン1992年4月号

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ハイスコア集計店マッピングプロジェクト ゲーメスト1992年5月号

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト マイコンベーシックマガジン1992年5月号