小人閑居して不善を為す chapter3

一介のプレイヤーからハイスコアラー、そしてゲームセンターの中の人を経てアーケードゲームと関わること40年以上、その普通とはかなり異なるゲーマー人生を回顧するべく記事を綴っております。

ゲームセンター回顧録 デイトナⅢよ永遠なれ! その2

その1より)

 

今回は「ハイスコアラーの視点から見たデイトナⅢ」について記します。

その1でも述べていますが、デイトナⅢがハイスコアの誌面掲載を開始したのは1999年まで遡ります。そのためこのお店に通い詰めた全てのスコアラーということではありませんが、特に最末期に私を含めたハイスコアラーがこの店舗が集うようになった経緯について触れていきたいと思います。

 

私は2000年頃からゲームセンターではネットワーク麻雀ばかりをプレイしてビデオゲームから遠ざかり、その後はingressに熱を上げていたりした時期もありましたが、2015年あたりから昔クリアしていなかったゲームを中心に再びビデオゲームに復帰するようになっていました。

 

最初は会社帰りに高田馬場へ寄ったり、週末に深谷まで出向いたりしていたのですが、ハイテクノーベル神保町時代のスコアラーの伝手で紹介してもらったのがデイトナⅢとの出会いです。

その日時は残念ながら記憶も記録も残っていないのですが、twitterのログを眺めた所2018年11月が最も古い訪問履歴として確認出来ています。

その後は通勤路の途中であり、馬場や深谷よりも自宅から近いことも手伝ってデイトナへ入り浸るビデオゲームライフが始まることになります。

 

写真は全て2023年3月3,25,26日撮影

 

デイトナへ行くようになって最初に衝撃を受けたのは「初代ドンキーコング」のスコアアタック。

海外版で面構成が違っていることを知らなかったためそちらも驚きでしたが、強制終了となるキルスクリーンまでにひたすら100点を絞り出し、そして積み上げていくプレイは自分の知っているドンキーコングとは全くの別物で、しばし見入っていたものです。

 

そして私が通い始めた2018年頃はまだ各地からスコアラーが集うという程の状況ではなく、埼玉県内在住のプレイヤーが以下に挙げる良好な環境でビデオゲームをプレイできる貴重な店舗としてホームとしていたという印象でした。

 

①基板の持ち込み

個人で所有しているゲーム基板を持ち込みで稼働させてもらえました。

基板を所持しているプレイヤーがいない時は、高井商会の基板レンタルを活用して調達するなどの対応もして頂けました。

 

②連射や特殊装備への対応

必要なタイトルに連射装置を付けて頂けるのは勿論のこと、タイトルによって必要となる連射速度の調整や切替、ボタンの増設や特殊操作ボタン設置、高機能連射装置のプレイしながらの設定調整も可能でした。

これは「行き着く所まで行き着いた」特殊装置使用時のコンパネです。某プレイヤー御用達。

レバー+6ボタン+スタートボタンの標準コンパネに合計で8個追加されたボタン、ロータリースイッチ、テンキーに加え、高機能連射装置は外部に露出しプレイ中に任意に調整できる仕様。隣のテーブルには電源と外部出力があり、PCを接続して動画の記録やマクロの送り込みまで行えるという代物で、一般のプレイヤーは何をやっているのか全くもって分からなかったことでしょう。

 

➂プレイ動画録画、配信環境の整備

もはやプレイの研究には欠かせない動画の撮影ですが、10台程度の録画機材は常設、録画タイトルの変更にも応じて頂けました。

その他個人で録画・配信機材を持ち込み接続するための外部出力がある筐体もあり、特にリアルタイム配信に活用されていました。

録画機材が3台重なったラック。

かつてはこの周辺はぷよ通の対戦会ツールで占められており、機材も対戦会3セットの録画のために設置されていたものだったと記憶しています。

 

そしてこれらの良好な環境が口コミやSNSで広まってくるにつれ、80年台のハイスコア欄を見ていたゲーマーなら誰でもそのスコアネームを聞いたことがある往年のスコアラーから期待の若手に至るまで、各地から徐々にプレイヤーが集まってくるようになります。

そこには80年台後半に誌上でしか名前を知り得なかったプレイヤーの方々と同じお店でゲームをプレイしているという、当時中高生だった自分からすれば夢のような光景が繰り広げられていたのです。

 

ただ、若い頃のそれこそ開店から閉店までゲームを続けるような気力・体力・集中力が保てなくなっている年相応の方々は、来店しても19時過ぎには皆があまりゲームをプレイしなくなります。そしておおよそ20時になると近所へ飲みに行くことが通例となり、毎週末のように宴が催されていました。恐らくは私も含めてゲームよりも寧ろこちらが主目的になってしまっていたかもしれません。

 

写真は店内に掲示されていた歴代のJHA(日本ハイスコア協会)にて、デイトナⅢから申請され全国トップスコアとして登録されたタイトル、プレイヤーの一覧です。JHA以前のゲーメストアルカディア時代に登録されたスコアは含まれていません。

 

wiki.denfaminicogamer.jp

JHAによるハイスコア集計は2016年3月からアルカディア誌の履歴を引き継いでスタートしていますが、そこから約7年にてこれだけのスコアがデイトナから輩出されたことになります。

それはここに集まったスコアラーの熱意と共にその環境を整えてくれたデイトナⅢという店舗があってこそのものだったと思います。

 

その3へ続きます)