(その2より)
デイトナⅢの長い歴史の中ではほんの一時期に過ぎませんが、ここでは閉店を迎えるまでの最末期の頃の店舗の様子について触れておきたいと思います。
写真は全て2023年3月3,25.26日撮影
入口から入って店内全体を見渡します。
以前はメダルゲームも設置されていたことからも窺えるように店内はそこそこ広く、筐体は比較的余裕を持って配置されていました。
様々なプレイヤーが集まってもあまり干渉することが無かったのはこの店内の広さの賜物でした。
入口左手に鎮座するオールドタイトル2種。
ゲーム録画や配信の際は、広い場所が確保され機材の展開がしやすいこちらの場所が重宝されました。
ドンキーコングはここが定位置だったのですが、入口に近いこともあって地下に降りる階段の時点でプレイ音がよく聞こえており、その音でプレイヤーの腕前も判断出来たものです。
ダライアスバーストは私が出入りするようになった2018年には既に稼働していましたが、設置された時のエピソードが私が最初にデイトナで紹介頂いたスコアラー、cat氏のツイッターにあります。
その後に数ヶ月して店長とも普通に話すようになってクリムゾンクローバーを、何回か更新した後に、何かやりたいのありますか?って言われて、ダラバーですねって言ったら、直後に筐体あって笑えました。
— Cat_ood (@Cat_ood) 2023年3月28日
ここからが今に繋がるデイトナ伝説のスタートでした。
発売直後から設置、とはいかなかったようですが、写真のように筐体周囲の遮蔽、2画面平行録画、そしてタイムレンタルなどプレイ環境が整備され、後発でありながらも固定層を掴んでいたように思います。
シューティングゲームは入口向かって右側の壁際に主に設置。
ケイブ系が多かったものの、それだけではなくプレイヤーの趣向やリクエストでバラエティに富むタイトルがどこからともなく用意されていました。
写真はガンバード2が2台設置されていた最末期。お店の開店直後ではこの2台のデモ画面がご覧のようにシンクロする光景を拝むことが出来ました。
そして突拍子も無く常連間で特定タイトルのムーブメントが起こることが多々ありましたが、その最たるものはグレート魔法大作戦だったのではないでしょうか。
キャラ別のハイスコア集計が始まったことも影響し、一時は3台常時稼働していたため「グレ魔テーマパーク」と呼ばれていたりしていたことも。
音ゲーは最末期はビートマニアⅡDXのみがバージョンアップされ、ポップンミュージックはファンタジアのままでしたがそれがかえって貴重だったようです。私が通い始めた頃はギターフリークスやドラムマニアの旧バージョンも設置されていましたが程なく撤去され入口付近は広々としたスペースになりました。
店舗最深部は長らく「スパイクアウト」×4台の指定席でした。4台通信が貴重で固定客が付いていたのですが故障等もあったようで徐々に稼働台数が減少し、最後は写真のように特に他とは変わらないラインアップとなっていました。
ゲーム文化保存研究所の記事に2018年頃の店内写真がありますが、当時は対戦台2台常設、週末対戦会の際には3台以上に増設して運営されていたものの、コロナ禍の影響で対戦会開催が自粛されると台数を減らし、一時期は店内設置が無いという時期も。
最末期はシングル1台の常設が復活し、スコアアタック御用達となっていました。
対戦格闘ゲームは最末期のデイトナではあまりイメージが湧きにくい方が多いと思いますが、コロナ禍前は特にストリートファイターゼロ系やネオジオ系の対戦会が頻繁に実施されていました。格闘ゲームの全国イベントである「闘劇」の予選店舗だったこともあります。
そしてこのお店の特筆すべき点は、店舗公式サイトやSNSを一切持たなかったため、イベントの告知やプレイヤー向けサービスを外部へアピールすることを一切行わなかったことです。
最近の厳しい環境下でも営業を続けているビデオゲーム主体のゲームセンターは、店舗の認知向上のためにゲーム大会等のイベント運営やゲーム配信に力を入れています。
それ自体は決して悪いことではないのですが、店舗主導でイベントを実施すると店舗スタッフがイベント運営に手を取られるため、おおよそイベント対象機種以外の運営やメンテナンスが疎かになる弊害が有ったりするのですが、ここデイトナでは店舗は「裏方」に呈しており、イベント運営をプレイヤーに任せることで他の客層への影響を極力発生させないよう配慮がなされていたように感じます。
結果的にはイベントを運営するプレイヤー側に自主性が求められるのですが、運営側の要望に対して可能な限り環境面でバックアップを頂けたのではないでしょうか。
ただ、人数が集まる対戦会の実施はピンで来店することが普通のスコアラーと比べるとコロナ禍の影響を大きく受けてしまったように感じます。
2020年に入り本格的に始まったコロナ禍の影響はデイトナにも押し寄せ、緊急事態宣言の発令された4月~5月に掛けては店舗も一時休業を余儀なくされていました。
6月になると営業が再開されたのですが、3密を避けるために人数の集まる対戦会系のイベント実施が控えられるようになり、以前と比較して集客が落ちてしまったのは明らかでした。
その後コロナ前の100円=3枚だったメダル単価が、200円=5枚となり最終的には200円=3枚へと変更になりましたが、「店が無くなっては困る」との総意からスコアラー間では値上げは寧ろ歓迎されました。
2回目のメダル単価変更はコロナ禍も落ち着きを見せ始めた2022年末頃に行われたのですが、その理由が「電気代の向上」であったため、当座は大丈夫と思っていた矢先の突然の閉店発表が関係者に与えた衝撃はあまりにも大きく、閉店までの最後の1か月、特に毎週末は上の写真のように名残を惜しむプレイヤーが多数集い、店内はまるでアーケードビデオゲーム全盛期のような光景が繰り広げられていたのです。
ただ閉店に至った直接の理由は売上ではなかったことは確かなようです。いろいろと事情はあったようですが、店舗に通うだけの人間がその事情に抗えるはずも無く、皆大きな喪失感を抱えながら粛々と現実を受け入れるしかありませんでした。
また一軒、街ゲーセンが閉店😭
— セブンズ (@sevensamusement) March 29, 2023
ゲーム機を搬出したあとは、一時代が終わったような気が…寂しい。 pic.twitter.com/ucWO9EN6H8
最後に、閉店後に店内機械が搬出された際の光景がありましたので掲載します。
寂しい写真ですが、一時代と形容されているゲームセンターの良き時代を過ごせたこと、そして一癖も二癖もあるプレイヤーの要望に快く応えて頂き、そして長年に渡り居場所を確保頂いたデイトナⅢとオーナー、店長、そして関係者各位に深く感謝をしつつ記事を締めたいと思います。
デイトナⅢよ永遠なれ!