小人閑居して不善を為す chapter3

一介のプレイヤーからハイスコアラー、そしてゲームセンターの中の人を経てアーケードゲームと関わること40年以上、その普通とはかなり異なるゲーマー人生を回顧するべく記事を綴っております。

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト ゲーメスト1988年8月号/トピック店舗:ニチイ浜松店/豊田商店(静岡県)

ハイスコア集計店マップ(ゲーメスト1988年8月号)

ゲーメスト1988年8月号(第3巻第8号)のハイスコア集計店マップとなります。

 

総店舗数は100で先月比-3となっています。今月は新規掲載店はありません。

以下スコア欄を掲載します。

 

【めざせハイスコア 1988年8月】

ゲーメスト 1988年8月号より)

ヒットゲームベスト10のランキングでトップに輝いているのは当時絶頂期であったグラディウスⅡ。丁度ニューバージョン(7万エブリ→15万エブリ)が登場した直後でしたが、このバージョンアップがプレイヤーの反発を買ったと記されています。しかし7万エブリでは永久パターンとなってしまうため営業的にやむを得ない判断でもあり、その点に触れていないのはあまりにもプレイヤーサイドに偏り過ぎているのではないかとも思えます。

 

永久パターンが発覚したタイトルは後々ゲームの評価が下がってしまう傾向があるのも事実で、このバージョンアップが無かったら現在に至るまで名作の扱いを受けることは叶わなかったのかもしれません。

 

そして先月に続き「ハイスコア座談会」の後編記事が掲載されています。

ゲーメスト 1988年8月号より)

今回のメインテーマは「嘘スコア」。ハイスコアを語る上で避けては通れない問題です。

ベーマガによるハイスコア全国集計開始当初に比べると、ルールの策定や啓蒙で嘘の申請は減少してきたものの、店舗のハイスコアに対する認識の甘さでスコアの確認が疎かであり、嘘スコアが申請される原因となっている状況が記されています。

 

スコア集計における店舗側の問題は根本的な解決策はなく、店舗に理解のあるスタッフが常駐しているかどうかが全てでした。

店舗に対してライセンス制を取るといった高いハードルを課す方法もあったのかもしれませんが、スコア集計自体が特に利益を生み出す訳ではなく店舗の負担を増やす行為のため、結局のところプレイヤーや店舗のモラルに任せるしか現実的な方法は無かったと言えます。

 

また「スコアが実力を反映していない」というゲームメーカー側の問題についても指摘がありますが、これについても一部のタイトルを除いて特にメーカー側が意識したという状況には至りませんでした。寧ろハードの性能向上による「見てくれ」の重視と、「1プレイ3分で終わるゲームが理想」と言われた製作方針で、スコアがゲーム製作側の意識からは着々と遠のいていったように思います。

 

トピック店舗:ニチイ浜松店/豊田商店

続いてトピック店舗です。

静岡県初期のゲーメスト掲載店より、「ニチイ浜松店」「豊田商店」の2店をピックアップします。

 

【ニチイ浜松店】

ゲーメスト 1986年5月号より)

2021年9月25日撮影

 

【豊田商店】

ゲーメスト 1986年5月号より)

2022年10月10日撮影

 

双方とも所在は静岡県浜松市で、且つゲーメスト創刊号である1986年5月号のみにしか掲載されなかった店舗という共通点があります。

 

「ニチイ浜松店」ですが、店舗欄には電話番号が掲載されているのみで住所情報が記載されていないのですが、名前の通り総合スーパーのニチイ内に存在したと推定しています。住所は浜松市千歳町91(現在は浜松市中区千歳町91)となり、写真は現在の住所の場所となっています。

ゼンリン住宅地図 浜松市南部1998年より)

ニチイは浜松市中心市街地の核店舗として1969年9月30日に開店、バブル崩壊や大型店同士の出店攻勢の影響で1991年2月に撤退しており、1998年の住宅地図ではパチンコ店がキーテナントとなっています。

 

そして現在同じ場所に立っているのは2015年にリフォームされた「遠鉄モール街ビル」です。内外観は綺麗になっていますが建屋はニチイ時代のものがそのまま使用されているようです。

 

一方の「豊田商店」は浜松の中心市街地から北西方向へ2㎞程度離れた郊外に存在を確認しています。

ゼンリン住宅地図 浜松市南部1984年より)

誌面に掲載される2年前の1984年の住宅地図ですが、店名しか確認出来ないこともあり業態や取扱商品は全く持って不明です。ゲーム機が設置されていたとなると想像されるのは生活雑貨店、駄菓子屋、玩具店あたりが想像できますが玩具店玩具店とはっきり明記する場合が多く、また周囲は殆どが住宅地のため駄菓子屋系のお店だったのではと想像することしか出来なくなっています。

 

お店の前の道は舘山寺温泉方面へ通じる県道ですが現在はバイパスが通じているためこちらは旧道の位置づけで、通行する車はそれ程多くありません。該当する住所も写真のように現在は美容院となっており、店舗が存在した形跡は全く確認出来なくなっています。

 

前述したようにこの両店はゲーメスト創刊号のみの単発掲載に留まりました。

既にベーシックマガジンに掲載されていた「ビデオインパズル」から3㎞程度、またこちらもベーマガ単発掲載となってしまった「ナムコランド浜松西店」からも比較的近く、ハイスコア集計黎明期には多数の掲載店を市内に抱えていた浜松ですが、同じ県内の静岡市が3軒のキャロットを擁し以後コンスタントに掲載店を輩出していたのに対し、浜松市は87年には掲載店が姿を消して以降集計店には恵まれず、90年台後半まで掲載店の出現が空いてしまうことになります。

 

【前記事】

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト ゲーメスト1988年7月号

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト マイコンベーシックマガジン1988年8月号

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ハイスコア集計店マッピングプロジェクト ゲーメスト1988年9月号

ハイスコア集計店マッピングプロジェクト マイコンベーシックマガジン1988年9月号